患者さんの健康と同じように、自分の健康にも気にかけてほしい
あなたは患者さんに
「無理しないでくださいね。健康第一ですからね。」
と言いながら、
勤務後に少々動悸がしても、眠って疲れが取れなくても、まあ大丈夫、と放っておいていませんか。
今回はそんなあなたに読んでほしい記事です。
医療現場はストレスフル社会
これまで医療現場で働いたことのある人には実感が持てると思いますが、医療現場では人命や対象者の健康に関わる業務が多数あり、
患者やその家族の対応で緊張状態が続き、ストレスが生じやすい職場です。
医療職でしか社会人経験がないと「そういうものだ」と気づかないこともあります。
しかし令和3年度の厚生労働省の集計では、精神関連の認定で24.6%を医療・福祉が占めており、職種別では一位です。
医療・福祉で働く人の人数が多いことは考慮しても、精神的な不調に陥りやすい業種といえます。
反面教師にしてほしい、かさの経験
緊張感が抜けず眠れなくなる
わたしは病棟で中堅として働くようになり、リーダー業務や、後輩リーダーの補佐役の夜勤などで、判断や緊張の場面が続くようになりました。
そのうち、家でも緊張感が抜けず、眠るべきときに眠れなくなりました。
しかし入眠剤を内服すればよく眠れるため、そのまま長期間放っておきました。
仕事は楽しいと思っていたし、やりがいもあると思っていました。
無理を重ねるのは意外と簡単
産科配属をする前に一度休んでしっかり治療をしていれば病棟助産師の仕事をもう少し長く続けられていたかもしれません。
しかしその当時は「休職したら出遅れる」「信頼が落ちる」と思っていました。
慣れれば大丈夫、慣れるまでは多少無理して乗り切ればいい、とだましだまし働いていました。
しかし、産科病棟では新しいことをゆっくり覚える暇はなく、毎日めまぐるしく状況は変化し、分娩担当などでは物理的に落ち着いて休む時間もありません。
ますます眠れなくなり、いろんな症状が出て「これはまずい」とやっと気づきました。
休職届けを提出するために師長さんや先輩と話をしたときは、恥ずかしくて辛かったです。
実際に休職して気づいたこと
実際に休職して感じたことは
人生長い中で、数ヶ月の休職は大したことではなく、
それより失った健康を取り戻すことが大事で難しい。
健康がないと仕事どころではない。
という当たり前のことでした。
幸い、本当にまずいことになる前に休んだため、休職は大学生の夏休み程度の短い期間で済みました。
しかしかつての健康を取り戻すのは難しく、まだ道半ばの部分もあります。
休みを取るべき7つのサイン
読んでくださっているみなさんには、患者さんの健康と同じように、自分の健康にも気にかけてほしいです。
しかし、一生懸命働いていると、自分の健康がどうか気づけないこともあります。
そこで、主な働きすぎのサインをまとめてみました。
- 疲れきっている(仕事をしているときは元気)
- イライラする
- 考えがまとまらない
- 好きなことが楽しめない
- 睡眠が乱れている
- よくないと思っている習慣をやめられない
- 休みの日を楽しみにしているはずなのに休日になると辛くなる
サインに当てはまったら・・
当てはまるものが一つだったとしても、ずっと放っておくと新たな不調に気づけなくなります。
悪くなる前に、自分の健康を守るために動き出しましょう。
①休みの時間から逆算してスケジュールをつくる
新しい環境に慣れていない人、特に新人さんなどは「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」とto doリストが膨大になり、それらの遂行を優先しがちです。
医療の調べごとは、薬の名前などネットで検索すればすぐわかるものもあれば、呼吸悪化の機序など、体系的に勉強しなくてはならないものも多数あります。
勉強も大事ですが、休むのもそれ以上に大事です。
睡眠時間や何もしない時間、好きなことをする時間をまず設定し、逆算してスケジュールを立てるのがおすすめです。
②仕事の負担を軽くしてもらう
仕事をしている時はアドレナリンが出て快活に働けていても、帰宅後や休日に何も手につかなくなるようなことが続いている場合は、黄色信号です。
上司に相談して、業務を調整してもらうことをおすすめします。
受け持ちの重さを軽くしてもらったり、新しい業務を始めるのを遅らせてもらったりするなどができます。
上司は同僚は、(たいていの場合は)仕事が円滑に回ることよりも病気になって欠員になるのを恐れているので、ある程度は考慮してくれるはずです。
③最終手段:受診して診断書をもらい、業務時間の調整や休業を申し出る
①も②もやったけど負のスパイラルから転じない、もしくは不調に気づけずすでにパンク寸前、または上司がまったく取り合ってくれないという場合は、受診して診断書をもらい、強制的に業務時間の調整や休業を申し出ます。
まとめ
ストレスを溜めやすく、精神的に体調を崩しやすい看護職。
これまで話したことを、少しでも役立てられればと思います。
以前、精神科の師長に言われた、
「看護師が元気でなくてはだめ。
自分の健康の余った部分を患者に分けるべき。
自分をすり減らしてはいけない」
という言葉をみなさんにもお裾分けしておきます。
わたしは忙しさを充実と混同して忘れてしまっていましたが、みなさんには健康を大事に、希望のキャリアで看護職を続けてほしいです。
余談 休んだ後の話
わたしは休職をして、結局は全快する前に病院を退職しました。
数ヶ月休んで、日勤のみで新たな職場で仕事を始めています。
夜勤が体に合わない体質だったと思うようにして、その経過に後悔はありません。
現在は助産師の経験がある看護師として、小児訪問看護の領域で働いています。
今の仕事内容はこちら
日勤のみで働いて、数年前と比較して驚くほど健康になりました。
あなたが健康に看護職を続けられますように