看護職として過ごしていると、患者さんの人生の選択のような場面に立ち会うことがしばしばあります。
特に、インフォームドコンセント(IC)の場面では、病状や治療方針の説明、患者や家族の意向の確認などがあり、看護職は臨機応変な、決まった正解のない関わりが必要になります。
◯さん、今日ICに入ってね!
と言われたとき、あなたはどうしていますか?
同席して記録に残すだけが看護職の役割ではないのはわかるけど、でもどうやって?
そこで、具体的にどんな関わりをしたら患者さんやご家族の助けになるか、まとめてみました。
まずは、インフォームドコンセントでの看護師の役割をおさらい
”看護職は、患者・家族の権利を尊重するために積極的に働きかけるアドボカシー(代弁者)。患者・家族が聞きたいと思っている情報を十分に聞くことができ、患者・家族と医療職双方が納得した意思決定になるようにする。” 日本看護協会
この記事では、患者さんや代理の意思決定者が一般的な理解力・判断力を持っている場合を取り扱っています。
あらかじめ患者側の面持ちを聞いておくor 情報収集しておく
急にポンとICに同席しては、できることが限られてしまいます。医師の話を聞いて患者側が話す内容を記録に残すのは、書記ができる人なら誰でもできます。
看護師が先にやるべきことは、前回のICを確認し、その後のS情報を確認して大体の患者の理解度を確認しておくことです
できるならば患者側に直接、気持ちを聞いてみるのがいいです。
時間があれば、質問したい内容をまとめるよう助言し、時間がなければICに案内する廊下などで、世間話をしながら
「これまでの治療はどうですか?いま一番心配なことはなんですか?」
と軽く聞いてみるのもいいです。
体調がとても悪い人、受けいれが悪くまったく話したくない人以外は、この場面でペラペラ話してくれることが多いです。
説明用紙があるか医師に確認する
インフォームドコンセント前には、医師側にも根回しをします。
まずは理解度を説明し、インフォームドコンセントの内容が書面になっているか確認します。
同意サインが必要ない病状説明などは書類を割愛することがありますが、声だけでペラペラ話しても伝わらないことが多いです。
特に初めて話す内容などは、しっかり書面に残してもらうようお願いします。
インフォームドコンセントの場では、患者のつぶやきの内容も医師に聞いてみる
静かな会議室などで、医師を前にすると固まってしまう患者さん・家族はたくさんいます。
医師が忙しそうにしていると、なおさら口をつぐんでしまいます。
その場面で、先ほど聞いた内容を直接医師に質問してみたり、話の内容を復唱して、医師や家族と確認したりします。
看護師の言葉がきっかけで、さらに質問が生まれることがあります。
患者側が話しているときは、しっかりあいづちや頷きをして肯定的な態度で話を聞きます。
患者側はたいてい「こんなこと聞いていいのかな・・」と思っているからです。
説明のあとももう一声かける
インフォームドコンセントのあとは、患者側が治療や説明に対して理解が高まったか確認します。
今日のお話どうでしたか?わかりにくいところはありましたか?
わからないことがわからないという方や今は大丈夫という方には、
同じ内容でも説明する機会はまた作れるので、おっしゃってください。
その時は質問のメモがあると便利です。
と伝えておきます。
説明の内容によっては、話なんてできない状態のことがありますが、その場合は様子を見ながら隣にいるだけ、背中に手を添えるだけでもいいです。
看護職は、患者さんがどんな理解度、態度でも問題ないという雰囲気で接するようにします。
まとめ
インフォームドコンセントで看護職ができる具体的な内容をお話しました。
患者さんとその家族は難しい内容を一つずつ理解しながら最善の選択をしたいと思っています。
その手助けをするのは、医師と患者の間に立つ看護職です。
インフォームドコンセントの場で患者さん側が緊張しすぎることなく疑問や不安を解決できるように援助するのは看護職の腕の見せ所です。
ぜひ、参考にしてみてください。